躁うつ病を生きる―わたしはこの残酷で魅惑的な病気を愛せるか?
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理性的であることの大切さを教えてくれる |
私も彼女と同じ病気である。つらいとき、この本にすがりつくのでボロボロになってしまった。彼女の頭の中はあまりにも高度なため、何が書いてあるのかよくわからない箇所もある。でも、膨大な言葉を浴びているうちに、いつも私は救われるのだ。
日本においては、躁うつ病関連の本が極端に少ない。うつ病はあっても、躁うつ病はめったにない。発病する割合が少ないからなのかもしれないが、「知らなくてもいいこと」「隠したいこと」と、恥の文化を持つ国民として無意識に感じられているのだろう。
米国アマゾンにはたくさんの躁うつ病本が並べられているが、ここのランキングで、彼女はトップである。他の本も上位に連なっていて、いかに彼女の功績がすばらしいかを物語っている。「躁うつ病の本だったらどれがお勧め?」と問われたら、何の迷いもなく私はこれを強く強く推薦したい。
ただ、これは、気軽には読めない。とても難解だ。また、彼女は白人だしものすごいエリートなので、ちょっと共感はできないかもしれない。しかし、与えられる力は強大である。患者の家族はもちろんだが、本人がバイブルとしていつも手元に置いておくべき重要な本であると、断言させてもらいたい。
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この痛ましくも魅惑的な疾患 |
この本は、重篤な躁鬱病を克服してジョンズホプキンス大学の教授となったケイジャミスンの自伝である。致死率の高い躁鬱病の怖さと軽躁状態の魅力をとても率直に伝えている。文学作品としても第1級で、色彩感覚にあふれるそれぞれのエピソードが目に浮かぶ:ほほえましいシーンが満載の利発な子供時代、臨床心理学を専攻しているにもかかわらず自分の病気を認識できなかった愚かさ、崩壊していく家族とやさしい兄の庇護、スコットランドの美しい彩りにいやされる欝の心、薬を拒否する非合理性、薬による心の平安と仕事の大成功、それを肯定しながらもかつての躁をなつかしむ心と体。。。。彼女を理解し支え成功に導いた美しい人達、躁鬱の彼女に惹かれる男性達との出会いと別れ。。。この本は、躁鬱病を主題としているが、気性が激しい、そしておそらくとても魅力的で凛とした著者の姿をも余すところなく描き出している。この本を読んでいると、著者がそばで静かに語っている、著者と二人だけで語り合っているような気になる。全編が躁鬱病との壮絶な闘いに費やされているのに、このあふれでる心地よさは何であろうか?いうまでもなく、躁鬱病は性格や精神の問題でなく、化学と分子生物学の問題であり、精神に影響する内科的疾患である。躁鬱病で死ぬ人達は、自らの決断で死ぬわけでなく、脳内の化学反応に文字通り殺されたのである。躁鬱病は、人間の精神について何事かを、それがいかに微妙なバランスの上に成立してるかを、語っているのではないだろうか?この痛ましくも魅惑的な疾患に、科学による解明がもたらされんことを。
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患者であり治療者 |
本書は患者であると同時に治療者でもある医学部教授の自伝だという点で、他の書と一線を画す。躁とうつの間を行き来する気分の描写は鮮明で、かつ、冷静な科学者の目が背後にある。よく効く薬と副作用への不安、周囲の人に病気を告白する時のとまどいなど、高校時代に発病した著者が病気と共生しながら医学を学んだ道のりが率直に描かれている。


